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2011年05月20日 (22:21)

丹波太郎見参!

前回に引き続いて、『京都の昔話』から心に残ったお話を。

今回は「丹波太郎」という話。

昔あるところに、白旗が立つと家の娘をおぼしな山の氏神さんに差し上げなければならないという古くからのしきたりがある村があった。

白旗は一年毎に立つので、今年はどこそこの家、また次の年はどこそこの家という風に順番に白旗が立つとその娘を一人ずつ、おぼしな山へ差し上げてたそうな。

ここで差し上げるということはもちろん二度と帰って来ないということを指す。

ある時、ある六部さん(放浪の僧みたいなもの)が村に来て、その村の大変嘆いている家にひょいっといって
「今晩泊めてくれ。宿してくれ」
と云って、白旗を上げられて、娘を差し上げなければならない家に宿を頼んだそうな。

そうして、家の人がなぜ嘆いているのかを聞いて、その六部さんはじゃあわしが今夜その様子を行って見届けてやると云うや、おぼしな山の裏手へ回って体をひそめて様子を見ていたそうな。

すると娘には衣装をつけて長持ちに入れて、村の若い衆がエイサヨイサで運んできた。
おぼしな山に這入ると、四人の比丘尼がおりてきて、
「丹波太郎が来にゃあよいに。丹波太郎にゃあ知らせなよ」
と云って長持ちを叩いて、いい加減に叩いたあと、
「さあ、かかろうで」
と一声、長持ちもなにもみるみるうちにメラメラっと砕いて、娘を担いで山へ登っていったんだと。

さて、六部さん、ここでは見ているだけだったが、観察するに、どうもおぼしな山の神様が土地の娘を取って食うというのは不思議だと思っていたが、やっぱりおぼしな山ではない、なにやら不思議なものが下ってきて、こういうことをするんだろうと思った。
そうして、「その丹波太郎というもんを、来年の氏神祭までにわしがつれてきて、なんとかする」と云って、帰っていった。

それから六部さんは律儀に丹波太郎という名のものを一所懸命探したが、どこにもそんな名前のものはおらん。
どうしたことだと思っていたある日、「丹波太郎いう、そういう人間はおらんけれども、丹波太郎いう犬がおるようじゃ。あそこの在はずれのお爺さんやお婆さんが飼うとんなるで、そこへ、ちょっと行っとみなれ」いう人の知らせがあって、六部さんはそこへ行った。

そうして、その丹波太郎を飼っているお爺さんとお婆さんに事情を説明して、おぼしな山のお祭りまで借りられぬかと懇願する。
すると爺婆は「人助けのためだし、わしらはええが、丹波太郎が承知するかどうか伺ってみる」と云う。

そして丹波太郎に「こういう事情でおみゃあを所望に来とる人があるんだが、おみゃあその用にたってあげてくれるか」と尋ねると、丹波太郎は思案したあと、うなずいた。
「そうなら、おめえは用にたってあげてくれるか」と重ねて尋ねても、またうなずく。

晴れて六部さんは丹波太郎を連れて、その村へ行き、丹波太郎を娘のかわりに衣装を着せて、若い衆が長持ちに入れておぼしな山へ向かった。

六部さんはまた去年のようにお宮の裏で様子を見ておったところ、また比丘尼連中が降りてきて、
「丹波太郎が来にゃあよいに。丹波太郎にゃあ知らせなよ」
云うて一所懸命に長持ちを叩いて、
「さあ、かかろうで」とかかったところ、丹波太郎ががばっと飛び上がって、四人の比丘尼と大格闘。
そうして、一人かぶりつき、二人かぶりつき、殺していった。
最後の四人目の喉笛を掻き切ったところ、どうしたことか、そこには大変な毒があって、丹波太郎もそこで死んでしまったということである。

お話はこれで終わりである。

丹波太郎は自らの運命を悟っていたのであろうか。怪異であった比丘尼を全員咬み殺すほどの強さを持っていながら、最後に毒に当たって死ぬ、これは深読みすれば、怪異が呪いや祟りと考えた場合、それを破ったものは、最後にはその怪異を被って死なねばならないという風にも読める。

しかし、丹波太郎、なかなか男前な犬であった。

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コメント

>ヨウミーさん

お久しぶりです!
元気ですよ☆

この話は犬がかっこよかったので、心に残りました。
四人の比丘尼も一体なんだったのか、不気味な話です。

珍しい

お久しぶりです☆

お元気ですか?

面白い本ですね。

僕も昔アイヌの民話集や神話集などを集めたり民俗学に興味をもったりしていました♪

このストーリーと似たものは多いけど、敵が四人の比丘尼だったり、主役が犬で、しかも死んでしまうと言うのは珍しいですね!

たしかに死ぬと分かっててうなずいたと考えるとかっこいい犬ですね(゚∀゚)

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